目的に合った選曲

目的に合った選曲

結論を言えば、「好きな曲を好きなように選ぶ」というのがベストです。しかし、なかなかそうもいかないのがライブの難しさでもあります。

学園祭で演奏するケース

まず、「学園祭で演奏する」と想定しましょう。そうなれば最初に決まってくるのが「曲数」です。学園祭の規模や与えられた枠にもよりますが、大体10〜15分(長くて20分)です。バンド向けの曲をやるのであれば1曲5分と見立てて、2〜3曲が限界です。

ライブハウスとは異なり、お金が発生しないケースがほとんどなのであまり統一感などは気にせずに自由に曲を選んでも構いません。より良いライブにしたいと思うなら、1曲目はポップでキャッチーな曲(キック4分打ちで始まる曲とかいいですね)、2曲目は少し落ち着いた曲、3曲目はアッパーなナンバーや盛り上がるパワーバラードあたりはいかがでしょうか。「起承転結」という四字熟語から見ると1曲足りませんが、3曲を通してストーリー性を持たせるとより良く見えます。

ライブハウスで初ライブをするケース

次にライブハウスで初ライブをするケースです。大抵のハコは初心者でも手軽で参加できるコピーバンドイベントを企画していることが多いので、これに参加するのが最もハードルが低いでしょう。コピーイベントの場合は、1バンドの持ち時間は30分(20分の場合もあります)が多いです。

さっきの例で考えると5分で1曲だから6曲、と思いきや1曲少ない5曲にした方がよいです。学園祭の場合、曲名とバンド名を言うだけでも形になりますが、ライブハウスの場合は「MC」が必要になります。1曲目が終わった後に簡単な自己紹介をして、2〜3曲目を続けて、4曲目前に軽く結成の経緯を喋って、そして最後の曲のイントロをバンドだけループで演奏してボーカルがMCをする、といった流れを考えると5分は余裕を持っておきたいからです。

また、両方のイベントとも1つのバンドのコピーをしたり、類似するジャンルを選曲すれば統一感が出て、完成度の高いライブに見せることができます。もちろん好きなバンド・曲を寄せ集めた形にしても構いません。「受けたい!楽しませたい!」と思うサービス精神溢れる方は、参考にしてみてくださいね。

シンプルなアレンジにする

シンプルなアレンジにする
具体的な曲数が分かり、選曲を終えたところで実際の練習に入ります。その時点で注意したい点として、技術面が挙げられます。初心者向けの楽曲を中心に、顧問の先生や音楽教室の講師に選んでもらったのであれば心配はほとんどないですが(全くないとは言い切れません)、楽器経験がほとんどないメンバー同士で集まって決めた場合、かなりの割合で難度の高い曲を選びがちです。みんながかっこいいと思う曲は、初心者はおろか時には中級者でも難しい可能性があります。だからといって、技術優先であまりやる気の起きない曲を選ぶのも、モチベーションの維持に難アリな点も難しいところです。

できるだけアレンジをシンプルにする

そこでおすすめの方法が、「できるだけアレンジをシンプルにする」という方法です。絶対に必要なフレーズ(イントロのリフとかメロディ)や、印象的なパートは頑張ってこなして、歌のバックや曲の途中で挟み込まれるフレーズはオミット(省略)しても大丈夫です。ちなみに、難しい曲を演奏するようになってきたらコードにオミット3(3度を省略)なんてワードがくっついてくるので、この機会に意味だけでも頭の隅に入れておいてください。

たとえば、ギターで言えばバッキングの合間のフレーズは全部カットします。パワーコードとブリッジミュート、コードストロークのいずれかで、案外やり過ごせます。ベースはルート弾き(1小節内で一番落ち着く音)オンリーにすれば、ちょっとの移動で済みます。ドラムは、頭のカウントと曲のパターンさえ叩けていれば問題ありません。

リズムがよれたり、難しすぎて演奏が止まってしまうよりは、可能なレベルまで省略してしまって安定して演奏できるようにするのが最優先事項です。背伸びをするのは「人前に立つ」ということを意識しているので、本来は凄く良いことです。でもそれは、日々の個人的な練習やバンドのレベルアップ練習に取っておきましょう。もちろん、限界ギリギリの綱渡り状態を敢えて見せるのもエンターテイメントですが、ただしそれは普段から人前に立っているなどエンターテイナーの素養があらかじめ必要なマテリアルです。最初は、安定したコンテンツを披露するのが成功への第一歩です。

リバーブは使わない

リバーブは使わない

リバーブを全開にすると気持ちよいですが、音がぼやけるのでやめましょう。これは中級者が集まるバンドでも起こる問題です。何のことかピンとこない方は、ギターを借りてアンプのリバーブを目一杯かけて弾いてみてください。わんわん響くお風呂状態にして弾くと、まるで大ホールで弾いているかのようなビッグな気持ちになって非常に心地良いです。ただし、これは当事者である演奏者だけの話で、音がぼやけすぎて周囲は何をやっているのか分かりません。

さらに問題なのはお客さんだけでなく、同じバンドのメンバーですらも分からない点です。当然、音像はもちろんリズムもぼやけるので、アンサンブルになりません。メンバーがそれぞれ出すリズムの打点が明確でないからです。リズムを出すのはドラムの仕事ではなく、他のパートも同様に出さなくてはなりません。それぞれが体感するビートを繋げ合わせて、長い間かけて擦り合せて初めてアンサンブルになるのです。

リバーブが掛かっていない状態を「ドライ」と呼びますが、ドライな状態でライブをやれば明らかに気持ち良くない上に、出音も細い感じになります。しかし、ライブ本番は音量のバランスの統一や、客席の聴こえ方、ステージ上のバランスをサポートしてくれる役割(PA)が存在します。そこでリバーブも適量に足してくれるので、演奏がパッチリきれいにメイクアップされた状態で披露できます。

ただし、あくまでライブ本番で処理を施すのは「良いものをより良いものに」という技術であって、エフェクターやアンプの項目でも当てはまる「無いものは足せない」という点は忘れてはなりません。いくら素敵な化粧品や服を買っていても、スキンケアやダイエットを怠ってはダメというのと同じで、ライブまでの練習はリバーブなしでしっかり粗をチェックしながら研鑽を積みましょう。(もちろん、粗探し練習で下がったモチベーションを上げるために、1日に1回など数を決めてライブを想定したリバーブをかけての練習をするならアリです!)

音量バランスに気をつける

音量バランスに気をつける

これは初心者だけでなく中級者、そして上級者に至るまでいつでもハマりがちな問題です。冷静に聴けない状態というのは人間どうしてもあるもので、その時気になるものに集中してまわりが見えなくなるのは誰にでもあります。

リスナー側からすれば、「ギターが大きすぎる」「歌が聴こえない」という冷静な目で見ることができますが、演奏する側になった途端何かに意識が取られていると簡単に見えなくなります。マスターしたフレーズを聴かせたい、新しい楽器や機材を聴かせたいためにギターアンプの音量を大きくしたり、メンバーのリズムがよれているからドラムが叩く音を大きくしたり、それに合わせて他のメンバーも音量を大きくしてボーカルが声を張り上げて喉を痛めたり、という問題は全国あちこちで常に起きています。ポイントは「音量は歌に合わせる」だけです。ギター・ベースアンプも、ドラムもそこに注意すれば万事解決します。

もう少し突っ込んだ話をすると、音量バランスを気にするというのは大前提ですが、バランスが崩れている原因は何かを考え、問題を切り分ける癖をつけてください。自己主張をしたくて音量を上げている時は、本当にアンサンブルにおいてその音量は必要なのか、全体をよく見渡すことが大事です。テクニックが上達して、ギター演奏をメインに聴かせるアンサンブルもそのうち出てくるでしょうが、それでも楽曲全体を見渡したバランスは必ず存在します。どんな曲で、どういう風に聴こえるのが良いのか、そしていちメンバーとしてどの役割を果たすべきなのかを意識することが大切です。

メンバーのリズムのよれや、間違いを指摘するような演奏をしていると、バンド不和の元に繋がります。音楽に関連して発生した問題は、実は人間同士の問題であることの方が多いため、音楽で決着をつけるのではなく話し合いで分かち合うようにしましょう。早めにこのスパイラルから抜け出しておかないと、今後加入しては離脱することを繰り返す放浪のバンドジプシー人生を送ることとなります。音の問題は音で、人の問題は人でという風に切り分けるよう心がけるのも、今後音楽やバンド生活を楽しむ上で不可欠なものとなります。

人前で練習する

本番前の仕上げに、リハーサルスタジオに友人を呼ぶというのが効果的です。人前で演奏するという状況自体が訓練になります。自室でただ普通に練習していても緊張しませんが、スマートフォンで練習風景を録画すると急に緊張しますが、これと一緒です。本番はもっと緊張するので、まずは1人でも良いので人を招いて演奏を見てもらいましょう。正直そのお友達には悪いですが、その場に居てもらうだけで効果があります。

もし人選に迷ったら、「褒めてくれる人」を選びましょう。厳しくジャッジしてくれる人間を選びがちなのですが、初心者の段階ではそれはおすすめしません。厳しい意見に耐えきれず、ポッキリ折れてしまったりテンション・モチベーションが下がってしまう現場を何度も見てきたので分かります。ビジネスの現場でも良く言いますが、「いきなり難しい問題にチャレンジするのではなく、小さな成功体験をコツコツ積み上げるのが大事」はバンドや音楽においても該当します。まずは小さなことでも褒めてもらって、自分たちはいけるんだ!と自信をつけることから始めましょう。ポッキリ折ってもらうのは、10回ライブをこなしてからでも遅くはありません。伝説のバンド誕生くらいの意気込みで挑むことが大切です。

普段の自室の練習時に、1時間はみっちり練習して最後の10分だけ本番を想定して録音したり、家族に部屋に来てもらって演奏するというのも効果的です。これはライブに限らず、演奏技術や表現力を向上させる上で不可欠な練習となります。上達してくれば、録音するだけで十分シミュレーションになるので、ずっと第三者の手がいるのかと不安になった方は安心してくださいね。

録音といえば、自室の練習もバンド練習も、なるべく録っておいた方が上達は早いです。スマートフォンのアプリで構いません。良い音で録れる必要はなく、後から確認できればOKです。後から聞き返して、ここはよくできた、ここはこうすればいいのかな、など気付きをメモすれば練習の効果は倍にアップするのでおすすめします。